ちょっとコーヒーブレイク

●「10円だけなのに・・・」




ふと、脳が無の状態に近い時に(入浴中、歯磨き中など)、
遠い昔の出来事を思い出します。

あれは、8歳くらいの頃だったと思いますが、友達のお宅の庭の砂場で遊んでいました。(今、思うと、庭に砂場があるなんて、豪邸ですね・・・)遊びに夢中になり、気づくと、家に帰る時間となっていました。


その友達のお宅は、遠くだったので(子供にとっては)
バスで行きました。帰る時間となったので、私は、バス代が足りるかポケットを確認しました。

すると、10円が足りなかったのです。


その友達に、「10円足りない!砂場に落としたのかも!」と言うと、いっしょに探そうという事となり、2人で探し始めました。なかなか見つからず、日が暮れてきました。



内心、『こんなに暗くて、探せるわけがない。もう、あきらめたい。』と思いながら、探すふり(笑)をしていました。日が暮れた中、子供2人が砂場で何かをしているので、その友達のお母さんが、「もう、家に帰る時間やよ。何しているん?」と声がけをしてくれました。



私達は、「10円なくしたから、探してる」と言いました。そこで、私は、『10円ごときだから、この子のお母さん、貸してくれるやろな~。』と思っていると、そのお母さんは、「え?! なくしたんやったら、探さなあかん!バスに乗れへんで!」と、驚きの言葉を発したのです!



子供心に、『え~、10円くらい貸してくれればいいのに。ケチ!こんな暗い中、見つかるわけがない。』と思いながらも、探し続けるふりをしていました。



『10分くらいで、あのお母さん、また、何かしら、声がけしてくれるだろう』と思っていたのですが、待てど暮らせど、声がけがなく、暗くなってからも、おそらく1時間くらいは、探し続けた記憶があります。



私は、半分、泣きそうな気分になり、『もう、勘弁して~!』と叫びたい気持ちでした。すると、そのお母さんが、「まだ、見つからんのか? しゃ~ないな。10円貸してあげるわ。」と、私に貸してくれました。



私は、もちろん、その言葉にうれしかったのですが、子供だったので、『今かい!もっと、早く貸してくれれば、早く家に帰れたのに。お母さん、お父さん、多分、まだ帰ってこないと、心配しているだろうな~』と思いました。




そのお母さんにお礼を言って、
無事、バスに乗る事ができ、帰宅しました。



帰宅後、すぐに、「10円なくして、バス乗れないから、10円探してて、遅くなった。」と両親に言ったところ、



驚きの返答が・・・

父: 「知ってるよ。その子のお母さんから、連絡あったよ。」

私:「え~、あったんや。連絡するくらいなら、貸してくれればよかったのに。10円やで!」

父: 「違うよ。10円でも足りなければ、できない事、買えない物があるという事を教えてくれたんや。」


当時、8歳の私には、この意味があまりわかりませんでしたが、今になり、深い意味があったんだなと思います。



今の時代は、

「こんな事をすれば、後々、面倒になる」

「余計な事は言わないでおこう」など、すごく気を遣って生活していますが、あの頃の時代は、両親だけではなく、近所のおばちゃん、おじちゃん、友人のお母さん、お父さんからも教育を受けていたんだと、つくづく感じます。


当時は、治安も今ほど悪くはなく、8歳児が日が暮れてからバスで1人で家に帰ることもめずらしくなかったのですが、今は、問題になりかねないですね。



あれほど長く10円を探す羽目(笑)になったので、今でも、鮮明な記憶として残っています。

 

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